2012年4月25日水曜日

ギャラリーAct1: 2009年1月


 毎年12月から翌年の2月にかけて、インフルエンザが流行し、そのたびに、予研(感染研)の「専門家たち」が「唯一の対策はワクチンだ」と宣伝 し、マスコミがそれに唱和しています。しかし、インフルエンザワクチンは本当に効くのでしょうか? その背後に予研(感染研)とワクチン業界の癒着がない のでしょうか?

 以下の論文は、『いのちジャーナル』(1998年5月号)に発表されたものです。


芝田 進午

Ⅰ なぜ"殺人ウイルス"を東京のど真ん中で培養するのですか

 

国立感染症研究所長・山崎修道殿

 一陽来復、春になり、インフルエンザの流行も終わりました。98年2月下旬、インフルエンザが昨年を上回って流行し、十数人の子どもや高齢者が死 亡したと報道されました。新型ウイルスの危険を軽視してならないという私たちの十余年来の主張がまたも実証されたわけで、まことに痛ましいことです。

 1987年、国立予防衛生研究所(予研)の東京都新宿区の住宅地への移転に疑問の声が上がった時、貴方がた、予研の所長や幹部諸氏は「もう感染症 は克服された。予研はこれからガンやアルツハイマー病のような老人病の研究に転換し、病原体をあまり扱わなくなるので、心配する必要がない」という趣旨の ことを主張しました。

 これにたいして、私たちは「遺伝子組み換え等による新しい未知の病原体が出現する時代なので、予研はそのような病原体を住宅地で扱うことになる。 その危険な特徴が人間に感染してはじめて判明し、予防法も治療法も判らない病原体を住居専用地域で扱うことは公衆衛生に反し、人権無視になる」と主張し、 説明を求めました。

 しかし、貴方がたは私どもの14篇の公開質問状(1)、早稲田大学や障害者団体の質問状にも回答 不能になったので、移転計画を再検討し、中止したのではありませんでした。反対に、情報公開も対話も拒否し、機動隊を動員して住民を抑圧し、早大生30名 を逮捕して建設を強行し、住民・早大・障害者団体・新宿区長・区議会の反対を力でねじふせて、移転と実験を強行したのでした。

 そこで、私どもはやむなく移転・実験差し止めを東京地裁に提訴し、もう10年間も法廷で予研の主張する「安全神話」を裁いてきました。その間、私 どもの予見どおりに、新しい病原体が続出しました。貴方がた自身が「国立感染症研究所」と名称を変え、"殺人ウイルスの恐怖"を声高く叫ばざるをえなく なっているではありませんか。

 ちょうど香港での新型インフルエンザウイルスの出現もあって、マスコミも"殺人ウイルスの恐怖"を大いに報道しました。週刊誌の記事の題だけをみ ても、「新インフルエンザ日本上陸で一〇〇万人が死ぬ!」(『週刊文春』(97年11月20日号)、「ついに発生! 猛毒インフルエンザ」(『サンデー毎 日』12月28日号)、「"殺人インフルエンザ"、薬局で買えない『特効薬』はこれだ!」(『週刊現代』98年1月17・24日号)、「恐怖のインフルエ ンザ、『ワクチン間に合う』あの厚生省が信じられるか!」(『週刊読売』98年1月18日号)、「恐怖の"渡り鳥感染ルート"を発見」(『プレイボーイ』 2月3日号)、「あの殺人インフルエンザが"超新型"に進化する!」(『週刊現代』2月14日号)、「猛威! 殺人インフルエンザは『この症状』が危な い」(同、2月28日号)等といった具合でした。

 例の香港ウイルスは死亡率が高く、香港では数百万羽のニワトリが処分されたほど恐ろしい"殺人ウイルス"だと報道されましたが、それは感染研に持ち込まれ、培養・実験されています。そこで、そのような危険なウイルスを東京の住宅地のど真ん中で培養・実験することが「適切か」と問われるのではありませんか

 貴方がたは「『封じ込め施設』で扱っているから安全だ」と主張しますが、はたしてそうでしょうか。97年6月、わが国裁判史上はじめて、予研(感染研)実験差し止め訴訟の一環として、外国の専門家による感染研への国際査察が行われました。詳細はここでは割愛しますが、私たちの予想どおり、WHO『病原体実験施設安全対策必携』(93年)、『保健関係実験施設の安全性』(97年)の総括編者でイギリス人のC・コリンズ博士、その協力者D・ケネディ博士(28年間、イギリスの病原体施設査察官の経歴があります)の「査察鑑定書」は次のように警告しました(2)

 「感染研が公衆の健康と安全にとって危険度が低いことをわれわれに確信させるには、はるかに及ばなかったことは確実である。…その近隣に感染研の立地と業務によって危険にさらされる住民がいない土地に再移転することを感染研は真剣に考慮すべきである」。

 前記のWHO『保健関係実験施設の安全性』も次のように主張しています。

 「[病原体の]実験施設は、可能な限り、患者のいる地域、住宅地、公衆の集まる地域から離れて立地させられるべきである。…高度の封じ込め実験施設ないし高度に危険な実験施設は、病院、公衆の集まる地域等から離れて立地させられるべきである」。

 ご覧のように、国際社会は予研(感染研)裁判の原告主張と同意見になっています。コリンズ博士らも警告するように、感染研の屋上から排出される排気には病原体等が含まれていますので、都民はすでに"殺人ウイルス"を吸入させられているかもしれないのです。

 

Ⅱ 厚生省もワクチンが「有効でない」と認めていたではありませんか

 


housewiveかゆみ

 山崎所長殿。私は、新型インフルエンザウイルスを警戒する点で人後に落ちるものではありません。

 しかし、問題は、貴方がたが推奨するインフルエンザワクチンが本当に有効なのか、むしろ副反応(副作用)の危険があり、有害なのではないかということです

 予研が「安全性の科学」と生命倫理を無視し「予防衛生」を破壊してきたことは、予研「検定」の血液製剤で薬害エイズの大惨事が起こされた事実(3)、予研が「新三種混合ワクチン」で乳児に大量人体実験を行った事実(4)でも実証されました。同じことがインフルエンザワクチンについてもあてはまるのではないかと、私どもが危惧をいだくのは不自然なことでしょうか。

 97年10月24日、貴方が座長の厚生省「新型インフルエンザ対策検討会」は「新型インフルエンザ対策報告書」を発表し、「対策の 基本はワクチン接種である」と主張しました。貴方がたのこうした「指導」で、私が住む新宿の区役所も、広報(97年11月15日)でインフルエンザワクチ ンを公的に推奨しました。私の近親者が入院中の老人病院でも、家族からも患者からも「インフォームド・コンセント」を得ていないのに、一斉に同ワクチンが 注射されました。こうしたことは、全国のほとんどすべての自治体や老人病院で起こり、前年の流行株に型合わせしたワクチン数十万人分が買い上げられたとみ られます。 テレビ・新聞をはじめ、前述の週刊誌もワクチンを大いに宣伝しました。実は、「型合わせしたワクチンなら有効だ」という貴方がたの「理論」に よっても、型の合わない新型ウイルスに効かないはずではありませんか。

 ここで、インフルエンザワクチン接種の由来を回顧しますと、それは、予研幹部の福見秀雄氏(元七三一部隊総本部「防疫研究室」所 属)が厚生省に要求し、57年、彼が開発したと称するワクチンを全国の幼児・学童(幼稚園から高校まで)に接種させる制度をつくらせたことからはじまりま した。その後、予研幹部らは強制接種を制度化させましたので、年間、3000万人分のワクチンが売れ、ワクチン企業は大いに利益をあげました。

 他方、副反応(副作用)による子どもの発熱・発疹等の被害率も高く、死亡・重度障害被害も続出しました。しかも、77年、前橋市医師会は接種学区と非接種学区でワクチンの効果を比較し、その無効性を疫学的に証明して、接種ボイコットの運動も広がりました(由上修三『予防接種の考え方』大月書店、92年)。

 さらに、87年、高橋晄正博士(東大医学部元講師)も著書『危険なインフルエンザ予防接種』(農文協)で、福見氏が同ワクチンが効かないという「抗原原罪説」(幼 少時にあるウイルス株に初感染すると、それによる免疫抗体が《原罪》のようにその後の免疫機能を支配するので、新しい流行株に型合わせしたワクチンでは予 防効果のある抗体が形成されないという免疫学者、T・フランシスの学説)が確立されていること、つまり有効でないことを接種制度提案以前に知っていたこと を論証しました。そして、予研を「ワクチン会社の利益のために子どもたちを副作用の危険にさらしつづけようとするゴマカシ」の機関だと科学的に、かつ厳正に批判しました。

 被害児童の親たちも国家賠償を求めて提訴し、20余年間も悪戦苦闘しました。そして、ついに92年12月、予防接種禍集団訴訟(東京)の東京高裁判決で、原告が勝訴し、厚生大臣は陳謝しました。ひきつづき、93年12月、厚生省は「有効性がないことを理由に」(『毎日新聞』93年12月14日)、幼児・学童へのインフルエンザワクチン強制接種制度を廃止せざるをえなくなりました。つまり、厚生省は、30年間も全国民の子ども、孫たちを有害無益なワクチン接種の犠牲にしてきたことを公式に認めたのです。

 しかし、山崎所長殿。推進した「専門機関」「検定機関」として最大の責任を負う予研の貴方がたは、その責任もとらず、謝罪もしないで《知らぬ顔の半兵衛》をつづけています(5)。 なぜでしょうか。そして、貴方がたは、今度は方針転換して高齢者や免疫弱者を標的にしぼり「肺炎等になるのを防ぐのに有効だ」としてワクチンを売り込んで きました。その経過については、私は拙論「インフルエンザ予防接種は有害無益」(『週刊金曜日』96年1月19日号)で述べましたので、ここでは繰り返し ません。

予研=感染研の専門家も効かないと認めているではありませんか

   山崎所長殿。私の手元には、予研=感染研の専門家がインフルエンザワクチンについて説明した次の論文があります(予研学友会とは研究職員の団体で、実質上、予研)。

 ① 予研学友会編『日本のワクチン』(丸善、67年、「インフルエンザワクチン」章の執筆者は水谷裕迪)、
 ② 『改訂2版・日本のワクチン』(丸善、77年、「インフルエンザワクチン」章の執筆者は水谷裕迪・根路銘国昭)、
 ③ インフルエンザ流行防止に関する研究班(福見研究班)『インフルエンザ流行防止に関する研究』(87年、非売品、福見秀雄、大谷明、杉浦昭ら、所長、部長歴任者らが主に執筆。福見、大谷は所長をへて、現名誉所員、杉浦は物故者)、
 ④ 予研学友会編『ワクチンハンドブック』(丸善、94年、「インフルエンザワクチン」章の執筆者は根路銘国昭)。


"減量の治療が"ケヴィン·トルドー

 山崎所長殿。私は、これらの文献の次の論点についてご教示をおねがいしたいのです。

  ①、②、③は「抗原原罪説」を承認しています。だとすれば、「原罪」になっている抗原と異なる新型ウイルス株のワクチンがなぜ有効だと主張できるのでしょうか(6)
 2 高 橋博士は「ホスキンス効果」説(ワクチン接種を繰り返すと効果が減退するという学説)が確立しているので、幼稚園から高校まで年2回、15年間も接種をつ づけたことは有害無益だったと批判しました。③も「ホスキンス効果」を認めています。だとすれば、幼児・学童にそのような無駄で危険な接種を強制してきた 理由を説明すべきではありませんか。また、③が3回接種を薦め、④が3回接種もやむをえないと主張しているのはなぜでしょうか。
  ワクチンはウイルスを不活化したもので、皮下注射して血液中の抗体値を高める目的で接種されます。しかし、インフルエンザウイルスは上気道粘膜で感染して症状を起こすのに、血液中の抗体は上気道粘膜に達しないので効かないと、高橋博士は主張しました。
 同様に、②も「一般に不活化ワクチンの皮下注射では血中抗体は上がるが、局所抗体はほとんど上がらない」と書き、④も「ウイルス感染の第一歩は鼻腔を中 心にする気道粘膜上に起こることから、その部位に分泌型抗体を産生するワクチンが望ましく、そのため、ca〔低温馴化した〕生ワクチンは多くの期待を集め ている」と述べています。
 つまり、現行の皮下注射ワクチンは鼻腔を中心にする気道粘膜上の部位に分泌型抗体を産生しないというのです。すなわち、感染研の根路銘呼吸器系ウイルス室長自身が、皮下注射ワクチンがインフルエンザ予防に効かないと主張しているではありませんか(7)
   ④はワクチンの「有効性」の根拠として杉浦昭氏らの70年の論文の参照を求めていますが、高橋博士の前掲書(111ページ以下)は同論文の非科学性を完膚 なきまでに批判しています。もちろん、予研側が高橋博士の杉浦批判に科学的に反批判しているならば、④は杉浦論文を根拠にすることができるでしょう。しか し、予研は、高橋博士の杉浦批判に反批判できないでいるのではありませんか。
  インフルエンザワクチンの「有効性」を主張 しようとするならば、当然、予研=感染研は、前橋市医師会の疫学的調査を批判し、それを科学的に凌駕する調査を発表していなければならないのではありませ んか。しかし、予研は本務であるにもかかわらず、そのような疫学的調査を行ったことさえないのではありませんか。それでは、科学的な根拠もなしに同ワクチ ンを宣伝しているといわれても仕方がないのではありませんか。

 要約すれば、予研の専門家自身も高橋博士の批判を認めているではありませんか。

 山崎所長殿。貴方はウイルス学者であり、しかも「新型インフルエンザ対策検討班」座長なのですから、私の質問に答えられないはずがないと思いま す。実は、私は、同趣旨の質問の手紙(96年2月6日付)を根路銘室長に送ったのですが、同室長はかならず回答するという口約束を5回以上もされながら、 2年間以上経った今日までご教示くださらないでいます。そこで、所長の貴方ならば回答できるにちがいないと期待し、ご教示をおねがいする次第です。

Ⅳ なぜ有害無益なワクチンを売り込みつづけるのですか

 

 山崎所長殿。ご覧のように、予研=感染研の専門家自身の論文がインフルエンザワクチンが効かないという主張を含んでいるのに、それでも貴方を先頭とする感染研の専門家諸氏は同ワクチンを売り込みつづけています。

 なぜでしょうか。

 3年前の阪神大震災の時も、貴方と根路銘室長らは、神戸に行き、被災高齢者に「インフルエンザワクチンが効く」と称して、8市1町の避難所で接種 を行わせました。当時、12,000人分のワクチンの在庫がありましたが、17万人分も発注しました。マスコミも貴方がたに情報操作されたようで、ワクチ ン接種の提灯記事を報道しつづけました。しかし、接種を受けたのは約2,600人にとどまり、大量のワクチンが不要になりました(『毎日新聞』95年2月 18日夕刊)。まさに阪神大震災に便乗したワクチン企業への公的資金による《大盤振る舞い》だったのではありませんか。

 阪神大震災時の"成功"に味をしめたのか、毎年、冬が近づくと、貴方がた、予研=感染研の専門家先生はマスコミに登場し、新型インフルエンザウイ ルスの恐怖と抱き合わせで、ワクチンの"効用"を宣伝してきました。95年から96年の冬にかけて、たとえば「インフルエンザワクチンとどう付き合 う」(『朝日新聞』95年11月12日)、「恐怖の殺人インフルエンザ・ウイルス」(『バート』同年12月11日号)、「インフルエンザ、数年以内に世界 で大流行、4人に1人発病」(『産経新聞』96年2月26日)等々、ワクチン宣伝キャンペーンが行われ、根路銘室長もテレビで宣伝しました。

 96年、はやくも夏のうちから根路銘室長が論文「O-157とウイルス大流行病時代」(『文芸春秋』96年9月号)を書き、O-157型大流行にかこつけて新型インフルエンザへのワクチン対策と危機管理の必要を叫びました。田代真人・予研ウイルス第一部長も同氏監修の書物『新型インフルエンザA「X」』(法研、96年)で、新しいインフルエンザによる危機管理とワクチン増産が必要だと宣伝しました。


 たしかに、96年末から97年にかけての冬、特別養護老人ホームでインフルエンザによる高齢者の肺炎死亡率が高かったと報道されました。ワクチン を公費で高齢者に注射すべきだと厚生省が主張し、マスコミも唱和しました。しかし、同ワクチンが高齢者に「有効」で、副反応の危険を無視してよいという科 学的根拠がどこにあるのでしょうか。

 特別養護老人ホームでの大部屋方式(欧米では個室方式です)、貧弱な介護基準を向上させることの方が、高齢者のインフルエンザ予防のもっとも有効な対策ではありませんか。 田代真人部長も「ハイリスク者に対するワクチンの有効性を示す科学的データがない」、欧米のデータも参考にできないと断言しているではありませんか(『日刊工業新聞』97年2月20日)(8)
 

Ⅴ 生命倫理に反しないのですか

 

 山崎所長殿。感染研は、厚生省の感染症対策を科学者の立場で指導・助言することを使命とする研究所であるはずではありませんか。国民の生命の安全・健康のために存在しているはずであって、ワクチン業界のために存在しているのではないはずです。

 このことを質問するのは、前述の文献③を作成した「福見研究班」になぜワクチン業界代表が委員として入っていたのか、理由が理解できないからで す。貴方が座長の「新型インフルエンザ対策検討会」の委員名簿をみて驚き、呆れました。インフルエンザワクチンの疑問点を先駆的に指摘してきた高橋晄正博 士やワクチンの臨床経験豊かな小児科医、毛利子来氏らを排除し、なぜ貴方がたの"仲間"だけで委員を独占しているのですか。感染研幹部の田代部長や根路銘 室長や数名の医学部教授・助教授らに加えて、なぜ中川久雄・(社)細菌製剤協会常任理事、つまりワクチン業界代表をも委員にしているのですか

 これでは、新型インフルエンザ対策を科学的に検討できるはずがなく、国民の健康よりもワクチン業界の利益を優先させる「報告書」になるのは当たり前ではありませんか(9)

 さらに、田代部長が「有効性を示す科学的データがない」と言明し、根路銘室長も皮下注射ワクチンの有効性を否定する主張を述べていたのに、どうして「対策の基本はワクチン接種である」という報告書に同意したのでしょうか。およそ科学者としての論理も倫理もないではありませんか。科学的データがないのですから「インフォームド・コンセント」を得る手続きも不可能でしょうし、そのようなワクチンを推奨すること自体、「人体実験をするようなものだ」と批判されるのは当然ではないでしょうか

 そもそも、根路銘室長については、川崎市の二つの病院で喘息の小児入院患者への未承認インフルエンザワクチンの人体実験を指導したと追及されてい ます(「小児病棟で進む遺伝子組み換えワクチンの『人体実験』」(『サンデー毎日』90年7月8日号)。この冬にも有効性が証明されていないワクチンが 「インフォームド・コンセント」なしに、多数の国民に接種されたのですが、これが「人体実験」でないとどうしていえるのでしょうか。生命倫理・人権論の見 地からみて許されることなのでしょうか。

 山崎感染研所長殿。以上のような疑問にご回答くださり、私の蒙を啓いていただけないでしょうか。新型インフルエンザへの真に科学的な予防対策が必要だと考えますので、そのためにも、ご教示をおねがいする次第です。


 

(1)これらの公開質問状は、芝田編『生命を守る方法』(88年)、同『論争・生物災害を防ぐ方法』 (90年)に、また、提訴後の原告主張は、同『バイオ裁判』(93年、以上、ともに晩聲社)に収録されています。

(2)感染研の国際査察については、本庄重男(予研名誉所員)「バイオ実験の『予研』に国際査察」(『週刊金曜日』97年7月25日号)、芝田「国際査察で明らかになった国立バイオ施設の危険」(『エコノミスト』97年10月7日号)参照。

  この国際査察には、原告推薦のイギリスの科学者のほか、感染研推薦の御用学者、アメリカ人2名も参加しました。彼らの報告書への批判的検討、関連文書は『技術と人間』(97年11月号以降)に連載中ですので、ご参照ください。

(3)芝田「予研こそ薬害エイズに責任」(『論座』96年5月号)、本庄重男「エイズ薬害、倫理忘れた研究にも一因」(『論座』96年11月号)、 同「薬害エイズ感染・発症に関する予研の責任」(『技術と人間』96年11月号)参照。この指摘の正しさは、衆議院厚生委員会(96年6月5日)、参議院 厚生委員会(96年6月13日)での菅直人厚生大臣(当時)の答弁でも確認されました。

(4)栗原敦「予防接種は『人体実験』だった」(『トリートメント』96年5月号)、同「ワクチン禍にも潜む厚生省の犯罪体質」(『論座』96年7月号)参照。

(5)吉原賢二氏(全国予防接種被害者の会会長、東北大学名誉教授。著書『私憤から公憤へ』〔岩波新書、75年〕でインフルエンザワクチン禍を告 発)は、ご子息がインフルエンザワクチンのために重度障害者にさせられた人です。同氏は次のように福見氏と予研の研究者を弾劾しています。福見氏と感染研 所長には、この批判に答えてほしいものです。


  「[インフルエンザワクチンは]こんないい加減なワクチンなのに、日本の役人は大先生の言うことだからと飛びつき、製薬会社は金儲けの種がふえ たといって喜び、国民モルモット化の状態でこのワクチンが推進されたのである。年間何百億円という大変な無駄使いがおこなわれた。福見氏のもっているある 意味でのカリスマ性が、30年も厚生省とメーカーを躍らせ、そして乳幼児、学童の間からワクチン禍の犠牲者を数多く生み出したのはまったく遺憾なことであ る。私は個人攻撃をするつもりはないが、公人としても福見氏の罪は重く、万死に値するほどと思っている。国民の前に、犠牲者の前に心から謝罪するのが最低のつとめであろう。…問題は厚生省から金の出る研究者がインフルエンザワクチンの効果を過大評価して来たことである。とくに厚生省傘下の国立予防衛生研究所の研究者に困った人たちがいる。インフルエンザ・ワクチンを専門に研究しているかれらはワクチンに肩を持って被害を軽視するし、インフルエンザ・ワクチンに対する反対運動を危険だとまで言って来た。… 十分な効果のないワクチンをさも効果ありげに宣伝するのは間違っており、国民に対する背信行為であることを知ってもらいたい。」(吉原賢二「インフルエン ザワクチン接種の政策が野たれ死にするまで」、全国予防接種被害者の会機関誌『わかぎ』1号、94年7月、ゴチは引用者)。

(6)「抗原原罪説」については、国際的代表文献、W・L・R・ビヴァリッジ『インフルエンザ』(邦訳、岩波新書、78年)も認めています。

(7)中島捷久、他『インフルエンザ』(PHP新書、98年)は最新の研究水準を紹介していますが、同書も、現行の皮下注射ワクチンを評価しておら ず、鼻から上気道に直接スプレーで投与する方法に期待しています。わが国では未開発ですが、生ワクチン(ワクチンとして改造した生きたウイルス)を使うこ とになりますので、開発されても、事前の安全性の慎重な評価が必要になるはずです。

(8)管見では、ワクチンが有効だと主張する欧米のデータとして、M・E・ゴヴァート、他「高齢者におけるインフルエンザワクチン接種」(『ジャー ナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション』94年、272巻、1661-1665ページ、英文)があるくらいですが、科学的根拠としては薄 弱なものです。 インフルエンザワクチンの効果がない事実については、予研=感染研の田代ウイルス第1部長でさえ、本文で引用したことを確言しているのですから、感染研の 職員自身が自分と家族に接種させないでいるのは当然です。

   感染研の新井秀雄主任研究官は次のように証言しています。

  「〔私は自分の子供には〕インフルエンザワクチンは一度も接種させたことはありません。もちろん、私自身も妻もまた今年88才に なる義母もです。今後ともかわりませんでしょう。なぜなら、専門家集団の職場でそんなことを聞くだけでも恥ずかしいからです。多分インフルエンザの専門家 自身が毎年接種を受けていないのではなかろうか。ご自分の子供や老親に受けさしているとは信じ難いことです」(新井秀雄「予防接種ワクチンの実際」『予研 (感染研)再移転要求ニュース』38号、97年12月6日号)。

(9)予研は、1947年5月21日、米軍命令によって設立されました。その際、731部隊に協力した「悪魔の飽食」の「医学者」多数が集められ、 初期においては、彼らがほとんどすべての所長、部長らの地位を占め、80年代はじめまで、すべての所長のポストについてきました(芝田「医学者の倫理と責 任」、山口研一郎編『操られる生と死』小学館、98年、所収、参照)。

   その他、米軍情報機関の資料によれば、金子順一(元731部隊軍医少佐)、若松有次郎(長春にあった100部隊の元部隊長・獣医少将)も、予 研でひそかに研究する便宜を提供されていました(P・ウイリアムズ、D・ウオーレス『731部隊』(89年、英文、による)。金子、若松は細菌戦争ネット ワークで中心的役割を果たした戦犯であり元高級軍人でしたし、公職追放されていたはずですが、おそらく米軍生物戦争部隊の下請け研究のために予研を彼らの 《もぐりの研究所》として利用し、予研も彼らと共同研究していたと推定されます。  予研と細菌戦争ネットワーク元幹部との共同研究は、米軍占領下、やむをえなかったと弁明することはできません。というのは、金子順一は、その後も予研と 共同研究をつづけ、前述の予研学友会編『日本のワクチン』(67年)、同『改訂2版・日本のワクチン』(77年)に、それぞれ「細菌製剤協会技師」「予防 接種リサーチセンター」所属の肩書きで共同執筆しているからです。予研と元戦犯の業界関係者との癒着を象徴する事実です。予研がそのようなワクチン企業と 《共同研究》して欠陥ワクチンを開発・認可・検定してきたのですから、数々の予防接種禍が起こったのは当然ではないでしょうか。

 (広島大学名誉教授、予研(感染研)裁判原告代表)  



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